山のこと


私の登山歴は以前の職場の同僚に誘われ参加したことから。
なぜその気になったのかは思い出せないのですが・・・。
それもテント、コメ、ビール持参での鳳凰三山。

結果はまさに地獄の行脚で、
自分の脚力の無さを思い知らされることとなったのです。

ただ会得したことがいくつもありました。

まずは「ゆっくり、一歩ずつ、マイペースで」

ひどくシンプルなことですが、
せっかちな私には全て欠けていることばかりだったし、
装備の徹底した簡素化や危険回避能力など、
普段の生活で忘れていた様々なことも思い起こさせてくれました。

またヘトヘトになってやっとたどり着いた森林限界の風景はまさに異次元で、
無骨な大地の内部を晒し見るようで圧巻だったし、
こうした世界を体験することは幸福で豊かだとも思ったのです。

それ以後は年に数回、山の人混みを避けるように
登山シーズン終了期間限定でテントと食料、冬装備で、
解りきった辛さを覚悟で行くようになりました。

天候悪化での挫折や遭難間際状態も経験しその怖さも知りました。
それからというもの体力的な弱点を見つけては日々黙々と鍛えることの繰り返し。

高速道路を走りながらアルプスを望む時、
登山の記憶として刻まれた体感や光景が浮かび上がってきます。
それは登攀の苦しさで歪む顔をふと上げた時に垣間見る景色の異様さであったり、
孤高に屹立する樹木だったり。
そして多分に自虐的な瞬時の恍惚のようなもの。

その不思議さを振り返り、語りきれずに再確認でまた登る、そんな繰り返し。
もう、ほどほどに、の年齢にはなってはしまったのだけれど、
ゆっくり、ゆっくりマイペースでいきましょか。

あの光を求めて。



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